この世界はバランスでできています。
精神と物質が存在するからです。
そしてそれは「すべてのことは相反するものと同時に存在する」ということです。
なにかが「ある」ということはつまり「ない」ということが証明されてはじめて存在できます。
光はなぜ存在できるのでしょう。
影があるからこそ、それが光だということがわかるのです。
逆に、光があるからこそ、影は存在できます。
当たり前のことですが、この当たり前のことこそがとても大切なのです。
宇宙にすべてを願ったある賢者の物語
ある賢者がすべてを知りたいと願いました。
そしてその賢者はすべてを知ることができました。
すべてを知った賢者は慢心し、世界を手に入れようとしました。
ですがそれと同時に、何も知らない自分が生まれていました。
彼は、2つに分かれてしまったのです。
すべてを知った自分は精神体だけになりました。
すべてを知らない自分は肉体だけになりました。
すべてを知らない肉体だけになった自分は暴走し、あらゆるものを破壊しました。
それは、すべてを知りたいと願った自分は世界を征服したい=世界を作りたいと望んだからです。
すべてを知った精神体の賢者は、悲しみました。
すべてを知らない肉体だけの暴走している自分を止めることができないからです。
結末は、第三者に肉体だけの暴走した自分を止めてもらうことになります。
このことから、すべてを知った精神体の賢者は結局は自分では何もできない、無力だということがわかります。
相反するものを受け入れる
この賢者の精神体は消え、肉体も滅び、彼はやっと解放され「自由」を手に入れることができました。
なにもできないことは「不自由」です。
ですが何度もお話ししているように、それは同時になんでもできるという「自由」なのです。
どちらの方向から見るかによって、感じ方は変わってきます。
皆様ご存じのブッダについて。
ブッダの教えの中に、執着を手放すということがありますね。
そしてブッダは言いました。
瞑想すら手放さなければならない。と。
では何もできないのか、ということではありません。
すべてのことは、相反するものが存在するのだと理解することです。
すべてはバランスでできています。
しかしながら恐れてはいけません。
自分の中のバランスを自分で理解し、自分でコントロールしていくことが大切です。
穏やかに生きるために
大切なことは「天秤の振れ幅をあまり持たせない」です。
バランス良く、上手に向き合って生きていく事が、人生を楽に生きる秘訣だと思います。
美輪明宏さんは、「正負の法則」ともおっしゃっていますね。
喜びは、ほどほどに。
悲しみも、ほどほどに。
目の前の小さな幸せを感じながら生きることです。
それが、穏やかさをもたらします。